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フレイムワーク契約は、あらゆる種類の流通性書類を網羅できるように、できる限り総合的であることが望ましいので、特定の流通性書類の電子的等価物についてはそれぞれ技術的附属書を提出することが必要となる。
?フレイムワーク契約の形式
MANDATEは、フレイムワーク契約を「ルールブック」の形で作成することを提案している。それは、例えば、P&Iクラブ(船舶運行業者が賠償責任保険をかける相互保険会社)が、その保険内容をメンバーに呈示するのと同じような方法である。ルールブックは、国際貿易取引における各種契約の通常形式に比べて、法律の門外漢(この門外漢が最終的には、流通性書類を電子的な手段に置き換えるシナリオにおいて、重要な役割を果たす。)にとって容易に受け入れることができるという長所を有する。さらに、様々な特質をもつ規則(特に、異なるユーザー間の関係に関する規則、中央機関と個々のユーザーの関係に関する規則等)に対して、容易に適応することができる。
?フレイムワーク契約の内容
MANDATEプロジェクトの最終報告書では、便宜上、包括的な流通性書類の等価物をENI(Electronic Negotiable Instrument:電子式流通証券)と呼んでいる。しかし、ENIは、既に述べた制定法上の理由で、それ自体の権利としての流通証券にはなれず、あくまでもその等価物にすぎない。厳密にいえば、流通証券(negotiable instrument)は流通性書類(negotiable documents)の亜種(即ち、物品の権利でなく、金銭の権利を移転するもの)であるが、ENIはどのような流通性書類の等価物にもなれることが指摘されている。また、MANDATEでは、フレイムワーク契約に定められている一連の規定を「ENITERMS」(Electronic Negotiable Instrument Terms:電子式流通証券に関する規則)と称している。
フレイムワーク契約には、最小限、次のような規定を記載することが必要である。
a)すべての当事者は本クラブの加入者とする旨の規定
b)非加入者に関する規定
c)紙の書類の場合と同じ義務に関する規定
d)紙の書類は発行されない旨の規定
e)電子的権利証の受領に関する規定
f)当事者に関する規定
g)みなし引渡の等価物に関す規定
h)拒絶証書の不適切性に関する無抗弁の等価物に関する規定
i)原因契約における約因の不適切性に関する無抗弁の規定
j)準拠法と管轄権に関する規定
?中央機関
フレイムワーク契約の核となる中央機関に誰がなるべきかという問題が生じる。ある種のTTPまたは全ユーザーからなる「クラブ」がこの役を引き受けることができよう。英

 

 

 

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